(No.6)命を繋ぐボランティアとしての献血について – 日本赤十字社 兵庫県支部

事務局長だより

(No.6)命を繋ぐボランティアとしての献血について

2024年10月8日 掲載

事務局長 生安 衛

 

 今年度の後半期に突入しました。幾分か気温もやわらぎ、朝夕はややしのぎやすくなってまいりましたが、まだまだ暑さは残っています。10月は衣替えの季節ですが、なかなか夏服をしまうことができずにいます。

 さて、先月21日から23日にかけて、能登半島の被災地で、線状降水帯による記録的な豪雨に見舞われました。今年元旦の地震からの復旧途上にあるなかで、大雨災害が起こりました。そのため、日本赤十字社としては、石川県支部を中心に被災者の支援に全力をあげて取り組んでいます。

 当支部としましても、10月4日に管内救護員指導者等協議会で意見交換を行うなど、あらゆる自然災害に向けての備えを強化しているところであります。

(個人の献血)

 先週の10月5日(土)、献血のため、昨年3月に移転された「三宮センタープラザminamo献血ルーム」に行ってきました。全血献血400㎖の場合、男性は年間献血件数が3回以内と決められています。そのため、私の場合、年3回を目標に、節目の月に献血を行うことにしています。赤十字運動月間の5月、今回は誕生月である10月、年初めの1月を目安にしています。

 今回は全血献血400㎖を行いましたが、次回は成分献血に挑戦したいと思います。献血には、大きく分けて全血献血と成分献血の2種類があります。全血献血は、血液中のすべての成分を採血する方法で、200㎖献血と400㎖献血があります。また、成分献血は血液中の血漿や血小板だけを採血する方法で、血漿成分献血と血小板成分献血があります。

 献血をまだ経験されていない方からは、その流れを聞かれることがよくあります。大きな流れを示すと、①献血受付、問診回答、➁健診及び血圧測定、ヘモグロビン等の測定、血液型の事前判定、③採血(400㎖・200㎖は10~15分、成分献血は40~90分)、④休憩(30分程度)になると思います。

 (献血は命を繋ぐボランティア)

 病気や怪我の治療に、輸血を必要としている人たちが数多くおられます。その輸血に使われる血液は、皆様の善意の献血によって支えられ、多くの患者さんが日々救われていることを実感します。

 献血は無償で血液を提供するボランティアです。血液は人工的に造ることはできず、数十分程度の採血などで貴い生命が救われるのです。誰かの明日をつくることができる素敵な社会貢献だと思っています。

 そして、医療機関に安定的に血液製剤を届けるためには、多くの方の献血への協力が必要なのです。善意の献血で集められた血液は、さまざまな薬となって、患者さんのもとに届きます。

 例えば、献血によりいただいた血液から、赤血球製剤や血小板製剤といった輸血用血液製剤や、特定のたんぱく質を抽出した血漿分画製剤が製造されて、病気やけがの患者さんの治療に役立ってます。

 献血は、輸血で使われるイメージが大きかったですが、その多くは「がん」などの病気の治療に使われています。

(ラブラッド)

 ラブラッドは日本赤十字社と献血者をつなぐ、Web会員サービスです。Webサイトやアプリで、献血の予約、事前の問診回答、献血記録の確認などが可能となります。このことで、献血会場での混雑の回避、自身の健康管理ができますので、安全・安心・手軽に献血協力ができます。献血未経験者でもアプリからプレ会員登録も可能です。

 私もスマホにラブラッドのアプリをインストールして、予約などを行っています。献血がスムーズに行われるほか、例えば、血液検査結果を過去のものと比較できたり、ポイントが貯まります。そして、オリジナル記念品との交換も可能となります。

 献血Web会員サービス「ラブラッド」 https://www.jrc.or.jp/donation/club/

(献血ルーム)

 今、兵庫県内には、6つの献血ルームがあります。神戸には、ミント神戸15献血ルーム(ミント神戸15階)、三宮センタープラザminamo献血ルーム(センタープラザ2階)、新長田鉄人前献血ルーム(アスタプラザファースト地下1階)、西宮には、にしきた献血ルーム(アクタ西宮西館2階)、尼崎には、塚口さんさんタウン献血ルーム(さんさんタウン2番館3階)、姫路には、姫路みゆき献血ルーム(フェスタビル北館4階)があります。各ルームは、おしゃれなカフェのような雰囲気で、誰もが気軽に来所できるような工夫もしています。

 また、神戸、姫路、豊岡の3カ所に配置した移動献血バスを県内全域で稼働させ、献血へのご協力をお願いしています。献血バス運行スケジュールは、兵庫県赤十字血液センターのホームページでご確認ください。このサイトでは、市区町名、予定日を選択した絞り込み検索で探すこともできます。

 兵庫県赤十字血液センター(献血する): https://www.bs.jrc.or.jp/kk/hyogo/place/index.html

(現状と課題)

 昨年は、全国で約500万人、兵庫県で約21万人の方々に献血のご協力をいただきました。このような多くの方々の献血への参加によって、患者さんのもとに血液を安定してお届けできています。

 先月の9月3日には、兵庫県公館にて、「令和6年度兵庫県献血功労感謝のつどい」が行われて、130団体、個人3名の方が厚生労働大臣表彰をはじめ、栄えある表彰を受けられました。

 しかしながら、少子高齢化により、10代から30代で献血される方がこの10年間で3割減少しており、若年層の献血協力者数は年々減少している状況にあります。現在の献血の必要量を達成できているのは、40代~60代の方々からのご協力に頼っている現状があります。

 必要とされています血液製剤の持続的・安定的な供給を行っていくには、若年層の方々のご協力が必要だと思っています。

 赤十字血液センターでは、高校生・大学生などの学生さんを対象にした献血セミナーを開催するなど、若年層の献血確保にも努めています。

 献血ルームに掲示されています「患者さまとご家族からのメッセージ」を読みますと、献血をより身近なものにし、継続的に行ってもらうことが大切であるとの思いを強くもちます。

 献血ルームを見学するだけでも、関心が高まりますので、ぜひ家族やお友達を誘ってお立ち寄りください。

 事故や病気で輸血を受ける可能性は、誰にでもあります。助け合いの気持ちで一歩踏み出していただけるよう皆様のご協力をよろしくお願い申し上げます。