(No.1)5月の赤十字運動月間について – 日本赤十字社 兵庫県支部

事務局長だより

(No.1)5月の赤十字運動月間について

2024年5月17日 掲載

事務局長 生安 衛

 5月は春から初夏へと移り変わる季節であり、色鮮やかな草花が咲き誇っています。山口素堂の「目に青葉 山ほとどきす 初鰹」の俳句にふさわしい季節となりました。この薫風さわやかな月こそが赤十字活動で最も記念すべき月です。

 この4月に着任してから、なぜ5月が「赤十字運動月間」なのかと思っていました。「世界と日本の赤十字」という本を読んで、それは記念すべき月であるからだと感じました。

 まず、5月1日は「日本赤十字社の創立記念日」です。日本赤十字社は明治10(1877)年の西南戦争を契機として生まれています。当時の元老院議官の佐野常民(さの つねたみ)らは西南戦争の惨状を救うため、現在の日本赤十字社の母体といえる博愛社を創設しました。しかしながら、政府の許可が得られず、有栖川(ありすがわ)征討総督に直接請願書を提出し、創設が認められたとのことです。この請願書を提出したのが5月1日であり、その日が創立記念日となっています。

 また、5月8日は「世界赤十字デー」です。赤十字の創設者アンリー・デュナンが生まれた1828年5月8日を記念した日であります。1859年イタリア統一戦争での傷病者の惨状を見て、救護活動にあたったことがきっかけとなったようです。とりわけ彼が書き著された「ソルフェリーノの思い出」で、戦争時の中立的救護組織の必要性を説かれました。これが大きな反響を呼び、後の赤十字創設に結びついたとのことです。彼は1901年に第1回ノーベル平和賞を受けています。現在のような世界レベルでの赤十字活動の広がりや活発な活動をみるとき、彼の業績の偉大さに胸が打たれる思いがします。

 今年の世界赤十字デーのテーマは「Keeping Humanity Alive(たすけあいの気持ちをいつまでも)」です。未曾有の危機と喪失に見舞われた地域で、悲惨な状況に直面されている人々への支援を拡大するという、国際赤十字・赤新月運動の変わることのないコミットメントを思い起こすテーマとなっています。県内では、明石海峡大橋や人と防災未来センターでレッドライトアップしていただきました。

 これらのことから、日本赤十字社は、5月を「赤十字運動月間」として、皆さまに赤十字事業をご紹介するとともに、活動資金へのご協力をお願いしています。

 ところで、5月に放映されている「2024赤十字は、動いている」のCM動画をご覧になられましたか。昨年(2023年)は、日本赤十字社が緊急時だけでなく、平時でも備えの活動を行っていることに重点を置いた広報でした。今年は、日本赤十字社の多様な職員の姿やその想いを伝えることを重視し、赤十字職員の現地活動映像と上白石萌音さんの語りで伝えられています。また、BGMはシンガーソングライターのUru(うる)さんが創作されています。ご覧になっていない方々は、ぜひご確認ください。(https://www.jrc.or.jp/about/gallery/)。

 アンリー・デュナンや佐野常民らが提唱され、時代を超えて脈々と受け継がれている、人間のいのちと健康、尊厳を守る「人道」を理念とした活動をさらに広げていきたいと思います。